「すげえじゃん。お前みたいな法律家は必要だと思うよ」
「学生時代に良い子ちゃんだった奴らって、人の痛みを知らないから、社会に出ると突然悪太郎に変身するやつも多いしな。
そもそも、十代後半の学力で、そいつの能力を判断しちゃうこの国のシステムも、無理が出てきてるんだよな。
俺さ、東大出たから言うわけじゃないけど、東京六大学なんかが、決して悪いとは思わないんだ。だけど、人間って、社会に出てからの時間が長いのに、その時間で身につけた物を全く評価しないシステムって無理がありすぎると思うんだよ。
結局人間は今や未来が大切だろ? わけわからんファンドや企業から金もらってる、七三分けポマード頭の爺さん達には分からないと思うけどな」
僕達は無言のまま何度もうなずいた。何度も。
きっと、そこに言葉はいらなかったのだろう。たがいに何か、大切な物が見つかったような気がした。 |
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