医者だって金儲けばかりしてるやつじゃないのはわかってる。患者から金をもらわないと病院を運営できないのも事実だよ。でも、金がないばっかりに命を落とす人がいる国っておかしくねえか?」
僕がだまりこむと、また、ター坊が話し始めた。
「ガキみたいだけど、この国に正義の味方なんかいないのかって思ってさ。法律家になろうと思った。青かったけどね。法学部だったから、弁護士目指したこともあったけど、やっぱり無理っぽいから、とりあえず行政書士になろうって思ってさ。
毎日ガンガン勉強したのよ。一回の試験で合格したぜ。ぶっちぎり。後は事務所開いてブイブイ言わせてるよ。今日も相談があるって言ってただろ? 子供が出来たからアパート出ていけっていう、馬鹿地主にやりこめられた若い夫婦がきてたのよ」
「子供が出来たからアパート出ていけって……それって契約書に書いていても、違法なんだから無効なんじゃねえの?」
「そ、民法に触れるから契約は無効。違法行為に基づいた不法請求を受けた上に、精神的苦痛を受けたから慰謝料を払えっていう、内容証明を書いてやったよ。もちろん、相談料は大家から払わせるつもりだ」
彼の話に少し、グットきた。方向性は違うけど何か同士&戦友に、やっとめぐり合えたって感じだ。心が震えて嬉涙がこみ上げてくるような気がした。 |
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