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1番館・2番館の謎

大盛り上がりになった。

ひさしぶりのター坊との再会。そして意見が重なったこと。それだけで十分だった。

今夜は大盛り上がりになった。いや静寂な大盛り上がりとでも言うべきだろうか。

気がつくとマダムがメニューを持って立っていた。

「メニュー、どうぞ。オーダーお決まりでしたら承りますが」

「すみません、アサリのスープパスタ」

僕がそう言うと、ター坊は、眉間にしわをよせて上から下までなめるようにメニューを見て、「僕も同じやつ」と言った。

賢明な選択だ。初めて来る店は、他の人に合わせると、けっこう無難な料理が出てくるものだ。実際、同じ物を頼んでもうまいけどね。

彼女は、手際よくチェックすると「お飲み物はいかがしましょう?」と言ってきた。

「何かこれに合うやつで、安くて上手いワインを適当にお願いします」と僕が言うと、ター坊も「僕も同じやつお願いします」

「それじゃ、ウマニ・ロンキ・ビアンキ・モンテプルチアーノ・ダブルッツオ2004なんかいかがでしょう?」

彼女は、眉をひそめながらそう言った。

「じゃあ、それで。かまわないだろ?」

僕がそう言うと、ター坊もうなずいた。

彼女は、少し微笑みながらオーダーメニューを繰り返した。

「それでは、今しばらくお待ち下さい」

彼女はそう言うと、軽く会釈してテーブルを離れようとした。


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