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昔、建設会社関係の日雇いの仕事場でも働いた事があるけど、はっきり言ってそっちの方がずいぶん楽だった。体しか疲れないからだ。

それなのに、なぜこんなきつい職業を選んだかと言うと、這い上がるためだ。

いくら頑張っても、資本力もなく家柄も悪く学歴もない奴らは、地べたを這いずり回って低所得者として生きていくしかない。

格差社会というと聞こえがいいが、事実上「チャンスをつかめないやつは死ね」と国がいい始めたようなもんだ。

だから、僕は賭けにでた。そして成功した。

ただ、走り続けないといけない不安から、常に拭い去れない疲れにまとわりつかれてる。
その疲れを癒すために、こういう場所に来るのはとても大事なことなんだ。

まあ、そんなことはター坊にはわからないだろうな。

「僕らの商売は結構しんどいんで、食事ぐらいこんな開放的な空間で食べたいのよ」

「まあ、何となく分かる。俺も不眠不休で法務手続きなんかやっていると、何か精神的にやられてくるときがあるから……」

意外な答えだった。まあ、現代社会は老若男女問わず、何らかの圧迫感に苛まれているってことか。

「そうそう、仕事の話」

ター坊はそう言うと、カバンの中から書類らしきものを出した。

「実はこの会社なんだけどさ」
ター坊は、そう言うと、クリアファイルの中から書類を取り出して、テーブルの上に広げた。

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