「お前、毎日こんな所で飯食ってるの？」

「人と会う時くらいだよ。ていうか、この中庭が好きなんだよね。晴れた日とか今日みたいな夜は、外で食べた方が飯もうまいし」

「それだけ会社が急成長してるんなら、羽振りがいいのはわかるけど、施設投資とか他の事に金回す癖をつけておいたほうがいいと思うけどな」

「行政書士らしい意見だと思うけど、僕の仕事は、こうやって心をリフレッシュしたり、新しいインスピレーションを手にすることが、とても大事なんだよ」

ター坊は、マルチメディアクリエーターの仕事について理解出来ていないようだ。

まあ、世間の人達もそうだけど、ほとんどの人たちは、僕達の事を楽して儲けている「ならず者」だと思っている。

実際は、その正反対だ。

何日も部屋の中に閉じ込められて、不眠不休で、音楽や映像コンテンツを作らないといけない。

ギャングやってた頃に、警察に一度パクられて、３日間取調べを受けたことがあるけど、それより窮屈な時間を過ごさないといけないことも多い。

芸術的な仕事ばかりじゃない。力仕事に等しい仕事も多い。

クライアントの実益がもろに絡む、オンラインショップやデータベース・スクリプトなどをガンガン更新しなければいけない。ひどい時は、分単位でスケジュールが詰まってることもある。

この前、３０になったエンジニアが胃に穴があいて病院に担ぎ込まれたけど、そんなことはいつ起きても不思議じゃない。とにかく重労働作業なのだ。