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とりあえず、自動販売機で缶コーヒーを買い、待ち客用の長椅子に座る。
缶コーヒーのプルトップを引いて香りと苦味を楽しみながら、ホール全体を眺めた。相変わらず、みんな隣の人には目もくれずに、遊戯に夢中になっている。
「遊戯している客達は、どんな職業についているのだろう?」
パチンコ屋に来ると、いつもそんなことを考える。夕方の五時過ぎに、これだけ熱くなって遊戯しているとしたら、答えは二つ。
仕事がなくて生活の金をかけるほどテンパってるか、何もしなくても有り余る金を持っていて、ひまつぶしにここに通ってるかだ。
特に一日で四十万近く金が動くパチスロは、客層が両極端だ。
視線を移すと、さっき消費者金融のATMから出てきたオヤジが、777を引いていた。
なるほど、今日は好調のようだ。僕も5千円分やることに決めた。
島の中をヒットしそうな台を物色しながら歩いていると、空いている席が見つかった。パチスロ台の上のヒットカウンターを見ると今日16回ヒットしている。そろそろ温まったころだろう。この台で遊ぶ事にした。
両替機に千円札を入れてメダルをパチスロ機の下のポケットに移す。コインを三枚投入してリールを回す。ボタンを押そうとしたら、後ろから「クリケン」と呼び止められた。ター坊だった。
「早すぎるよ。今始めたばっかなんだけど……」
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