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僕がそう言うと、ター坊は少し遠慮がちに「俺、向こうで待ってるから」と言って、待ち客用の長椅子の方に歩いていった。
さすがに僕も、人を待たせてまでパチスロをやるような自己中じゃない。
払い戻しするのもめんどいので、メダルはとなりのおっさんにくれてやった。
「いいよ、兄ちゃん。777引いてっからさ」
「いえ、ちょっと用事できちゃったんで。使ってください」
「悪いな、兄ちゃん。今度コーヒーでもおごるからよ」
さっきの消費者金融のATMから出てきたおっさんだった。あらら。
ひょっとすると僕が渡したコインが引導渡すことになるかもね。せっかく引いた777は長続きはしそうにない。勝つと調子に乗って儲けをばらまいて、負けがこむと熱くなって金をどんどんつぎ込むタイプだな。
消費者金融からケツの毛までむしられないといいけれど。おっさんに頭を下げると、そそくさとター坊のもとへ向かった。
ター坊は、待ち客用の長椅子に座り、缶コーヒーを飲みながら天井からぶら下がってるテレビを見ていた。視線を移すと、プラズマテレビの大画面が異様な大きさに見える。
「悪かったね。ター坊。ちょうど始めたばっかだったからさ」
ター坊は、一瞬だけ僕を見ると、またテレビに視線を移した。画面を食入るように見ている。
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