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タイゾウは、いつのまにか飛びっきりのスマイルで彼女の話を聞いている。
それにして、クールビューティーでリッチな感じの女だ。
でも、どこかで見たよう気がする。
そうだ…。あのレースの夜に、康市と一緒に僕の方を見ていた奴じゃないのか?
しかし、何故ここに来たのだろう?
それにしても、タイゾウは美人に弱いな。
タイゾウは、彼女としばらく長話をしていると、痺れを切らし、ようやく用件を聞き始めた。
彼女は、長い髪を軽く掻き揚げると、意気揚々と話し始めた。
「実は今日、良い話が御座いまして。ご提案させて頂きたいと思い伺わせて頂きました」
「提案?」
「ええ、つまり依頼です」
「で、何ですか?」
「ある案件を処理して下さいましたら、2人に5千万円ずつ、計1億円お支払い致します」
「そう、でも何か怪しいですね?」
タイゾウが躊躇していると、彼女はすかさず話し出した。
「失礼ですが、関口さん。あなたのお父様は、関口自動車の資金を4千万円程度、美森信用金庫から個人補償でお借り入れされてますよね。最近は、ご返済も苦しいのではないでしょうか?」
「オタクには関係ないだろう…」
彼女の話を聞くなり、タイゾウの顔色が一瞬にして悪くなった。
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