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「そんなの、知らねえよ…」

「そうか、分かった。俺は、クルマ屋なんで今からお前らのクルマを調べて、警察にタレ込んでもいいんだぞ」

泰蔵の問いかけに、ふたりとも、急に黙り込んでしまった。

しばらく沈黙が続いた後、金髪野郎が小さな声で話し出した。

「20万掛けて、レースをやらねえか?それで、チャラでいいだろう」

泰蔵が、腕組みしたまま、しばらく考えた後、答えた。

「レースだ。ガキじゃあるまいし。おまけに、20万ダ〜。エ〜、この野郎。50、50万賭けるならやってやってもいいよ」

「50かよ……。分かった、50万だな」

「で、どこでやる?」

「下浦ダムの外回り。2台のリレー方式だ」

泰蔵が、僕に問いかけた。

「栗原、どうよ。お前、やるか?」

「え、レース?やるの…」

泰蔵は僕の話も聞かずに、金髪野郎と話し出した。

「で、いつやる?」

「今週の土曜の夜、9時でどうYO?」

「アイ、分かった。お前ら、それまでに絶対金だけは用意しとけよ」

泰蔵は、そういうと僕の手をとり、店の出口に向かった。


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