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「あ、何が?」

「いや、俺、人生終わってるよな…」

僕がそう言うと、彼は僕の胸ぐらを掴んで話し出した。

「バ〜カ。終わってネエヨ。お前勘違いしてるけど、失敗も一つのキャリアだぜ。問題は、そこから何を学び、豊かな人生を送れるかって事だろう」

「……。そうだな。全く、お前の言う通りだ。高校の時、担任だったヤキソバ先生もそういう事いってたな」

「だろう〜。でも、ヤキソバ先生の話は今するな。ボケェ」

彼は、そう言うと笑い出した。

それから、しばらく二人で話し込み、話が尽きると彼に帰宅する事を告げ車に乗り込んだ。

運転席のパワーウィンドを下ろすと、彼が話し出した。

「それじゃあ、明日は、8時30分までに来いよ」

「ああ、分かった。それじゃあな」

僕は、そう言うと、ゆっくりと車を走らせた。

以前から、借りっぱなしにしていた、アパートまで辿りつくと、駐車場に車を止め階段を上った。

郵便受けには、数通のダイレクトメールが間違って、入っている。

そういえば、郵便の手続きもしとかなきゃな。

そう思いながら、鍵を開け室内に入り、部屋の電気を点ける。

数年前と、何も変わらない部屋に、少し驚いた。

ただ、ここから全てが始まったんだな。

クローゼットの中を、見てみると古いジャージがぶら下がっている。

それに着替えると、ベットに横になり、携帯のアラームを午前7時に合わせた。

相変わらず、理香からの着信履歴がある。

携帯を、ベッドの横のテーブルに置くと、天井を見上げた。

そして、いろんな事を考えている間に眠りについてしまった。


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