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とりあえず道はあるが、前からも後ろからも車らしきものは走って来ない。

車内の時計を見ると、午後10時を回っている。

疲れたな、今日はここで寝るか。

しばらく走ると、左の路片側に大きな膨らみがあり、そこに車を止めるとエンジンを切って、シートを倒し眠ることにした。

目を閉じると、森を駆け抜ける風の音がかすかに聞こえる。

長距離を運転するのに慣れていないせいか、すぐに熟睡してしまった。

翌朝になると、誰かが窓ガラスを叩く音に気付き目覚めた。

そこには、年寄りと若い二人の警察官が立っており、窓越しに何か話しかけている。

エンジンを掛け、パワーウィンドを下げると、50歳前後の警官が僕に向かって話し出した。

「あのね、別に大した事は無いんだけども…。あなた、ここで何やってるの?」

「ハ?あ、東京から美森市に向かって帰ってたんですけど、疲れてここで眠ってしまったんですよ」

「ああ、そうですか。いや、私は、また自殺でも考えてるんじゃないかと思いましてね。そう、そうですか。分かりました。それじゃあ、安全運転でお願いします」

「はい、分かりました…」

話が終わると、警官達はパートカーに乗り込み、そそくさと走り去って行った。

何か、警察官って職業も大変だな。

路上生活をしている人達を片っ端からチェックしなきゃいけないんだもんな。

車内の時計に目をやると、朝の6時を回ったところだ。

完全に目が覚めると、体がしびれている事に気付いた。

ゆっくりと、ドアを開け、車の外に出る。

本当に雑木しか無い、寂しい山の中だ。


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