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「はい、とりあえず刑務所に入らなくてもいいんですよね」
「ああ、でも前科者にはなるがね。こちらも、出来るだけ量刑が軽くなるように努力するよ」
「本当ですか。ありがとうございます」
ふぅ〜。何とか、うまくのりきれそうだ。しかし、今の日本で司法取引なんかしても大丈夫なんだろうか?
「それで、お約束って何ですか?」
「それは…」
田嶋検事総長が話そうとしていると、長谷川法務大臣が割って入った。
「いや、私が話そう。単刀直入に言うと、COLORプログラムの技術情報を我々に提供していただきたい」
「提供と言われましても…。現状を把握する前に身柄を拘束されたものですから…。でも、どうして、COLORプログラムの情報が必要なのですか?」
「私達は国家を運営し、治安や秩序を保つ立場の人間だ。どうしても、COLORプログラムのような、人口知能システムが必要なのだよ。それに、国防対策にも何かと使えそうだからな」
「わかりました。協力しましょう。しかし、COLORプログラムの全容は未だ解明出来ていません。解明できしだい、報告するという事で宜しいでしょうか?」
「いいでしょう。ところで、今何か不自由な事はありませんか?必要なものがあったら、差し入れさせますよ。しばらくの間、不自由な思いをさせますが世間の目もあるので、最低あと2週間はここにいてもらわないと困るものですから」
「別にたいして不自由はしていないのですが、もう取り調べはやめて下さい」
「ハハハ。そうか、分かった。さすがの君でも随分堪えたようだな」
「ええ、さすがにまいりました」
「よし、分かった。では、もう、自分の房に戻っても構わないですよ。それから、後2週間もすれば保釈請求が認められると思うので、ゆっくりしていって下さい」
「はい、分かりました。じゃあ、よろしくお願いします」
僕は2人に深々とお辞儀すると、ドアを開けて廊下に出た。
刑務官と目が合うなり、彼は今さっきとは違う態度を示した。丁重な口調で自分の房に戻るように告げた。
自分の房に戻ると、刑務官は鍵をかけ足早に立ち去った。
この日を境に、取調べや刑務官の厳しい対応は、一切なくなった。それと同時に、朝起きてから寝るまでぼ〜っと過ごす日々が続いた。
そして、いよいよ保釈される日が訪れた。
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