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「初めまして…。いや、正確に言うと君が幼い時に一度、お会いした事があるな。まあ、覚えてないだろうが…。私は、法務大臣の長谷川一郎です。そして、こちらが検事総長の田嶋久幸だ。彼が検察のトップですよ」

長谷川法務大臣の話が終わると、田嶋検事総長が、軽く頭を下げた。

「あの〜。子供の頃って…。私の父の事を知っているんですか?」

「はい、存じ上げています。生前、あなたのお父様には何かと、御支援していただきました。そして、今の地位を手に入れる事が出来ました。この、田嶋検事総長も同じですよ」

「そうなんですか…」

「それで…。あなたの力になりたいと思っているのですが。一つだけ約束してもらいたい事があるのです」

「約束って何ですか?」

「それは、あなたが良い返事をしてくれないと話せません」

「そうですか…。では、こちらも何とも返事出来ません。さすがに話の先が読めない契約書にサインをする奴は、いないでしょう?」

僕が話し終わると、しばらく睨み合いが続いた。

こいつらは、何を考えているんだ。

……。だが、この取引は僕の人生を大きく変えてしまうものなんだろう。ここが、正念場だ。

クソ〜。こんな時に限って胃と腹の奥が痛み出した。オマケに吐き気もする。

そう言えば、前に夢の中で緑の妖精さんが、何か助けてくれるって言ってたな。

あれは、夢だろう…。いや、もう何も手立てがない。よし、試してみよう。

目を閉じ、深く息を吸い込み、心の中でビットと叫んだ。

……。あれ、やっぱり何も起きない。

しょうがないので、目を開けようとした瞬間、緑の妖精さんが現れた。

「お久しぶりです。ケンイチさん」


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