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◆悪魔の抱擁◆
次の朝、目覚めると気分がよくなって、晴々とした気分になっていた。昨日、あれだけ落ち込んだことが嘘みたいだ。
徐々に、心が鍛えられてきたのかな。
布団をたたみ、点呼の時間を待つ。
刑務官がやって来て点呼をすませると、食事をとった。
食事が終わり、借りていた本を読もうとしていたら、また刑務官がやって来た。そして、房の鍵を開けると外に出るように指示した。
言われた通り、房を出ると刑務官の指示に従って歩く。
歩いていて気づいたのだが、この刑務官の顔を見るのは初めてだ。
いつもの奴じゃない。新人なのか?いや、新人にしては老けている。
そんな事を考えていると、いつも取調べを受けている部屋の前を遥かに通り過ぎていた。
「あの…。ちょっと、いいんですか?」
「黙って歩け」
そうだった。ここでは、私語厳禁だったんだ。
しかし、今からどこに行くのだろう。
もしかしたら、今度は本当に釈放されるんじゃないだろうか。
そんな、甘い夢を抱きつつ歩いて行くと、接客室のような場所にたどり着いた。
その部屋の中に入ると、ソファーとテーブルがあり、ダークスーツを身にまとった初老の男性が2人、ソファーにもたれかかっている。
刑務官が、初老の男性達の向かい側のソファーに座るよう指示したので、腰を下ろした。僕が座るのを見届けると、刑務官はドアを開けて出て行った。
僕の席と向かい合い右側には、白髪まじりの男がいた。その左横にはバーコード頭の男が座っている。
緊張して無言のまま座っていると、バーコード頭の男が、ゆっくりと話し出した。
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