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そう言うと、京介は大声をあげて笑い出した。
「テメ〜〜、ふざけんじゃねえぞ」
頭の中が真っ白になり、京介に飛び掛った瞬間、誰かが僕の手を引っ張った。スーツ姿の男の後に、20人ほどの警察官が控えている。
「ウルセ〜ヨ〜。テメェ〜、ナニモン?」
「おとなしくしろ。容疑に傷害が加わるぞ」
「ナニモンって聞いてるだろ?」
「東京地検特捜部の者だ」
「え」
「栗原賢一さん、金融商品取引法違反で逮捕令状が出ています。おい、後ろ」
男の後ろに控えていた警察官が僕の両脇を抱える形で押さえつけた。
「これから逮捕理由を説明します。逮捕理由、金融商品取引法違反第166条2項違反の容疑。
事前に富国電気の不祥事が公になり、自分が保有する株式の価格が下がる事で損失をこうむる状況を知っておきながら、損失を免れるために、株を売却した疑い。
何者かと共謀し、事前に大規模の株を売却することを申し合わせ、投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす富国電機株式会社の株価の騰落を左右しうる情報を流布した疑い」
「あの、何のことだかさっぱり?」
「特別に甲号証として押収したものを聞かせます」
もう一人の検事がビニール袋に入ったICレコーダーを取り出すと、再生しはじめた。
その内容を聞いて、僕は血の気が失せていくのを感じた。上原とバーで、話した内容が録音されていたからだ。上原の指示にしたがって、手持ちの株をネット証券会社の口座から指定された時間に、売却することを約束した時の話だ。
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