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「始めまして、私はネクスト・ステージという会社でCEOをやっております上原和樹と申します。皆さんも既にご存知かとは思いますが。先日、ゴールデン・パートナーが手放した富国電気の株式を、御社のメインバンクである三友銀行が取得いたしました。
しかしながら、この不況の煽りを受け三友銀行は、富国電気の株式と債権を私共ネクスト・ステージに譲渡されました。したがって、当社は発行済み株式の52%弱を保有すると同時に筆頭株主となり。同時に最大債権者ともなりました事をここにご報告申し上げます。説明するまでもありませんが、富国電機の経営権は我々のものとなります。
早速ですが、緊急動議を提案します。我社は、早見京介氏を代表取締役CEOに選任したいと考えております。なお、旧経営陣の方々には速やかに退陣していただきたいと思っています。しかしながら、私共もあなたがたの功績を評価していない分けではありません。
私達の提案を受け入れていただける方には、今のポストをお約束したいと思っています。どうでしょう、私達の提案を受け入れてくださる方は、起立していただけないでしょうか?」
僕は、何がなんだか分からないまま怒鳴った。
「バカな事を言うもんじゃない。お前みたいなヤクザもんがこんな事をしてただで済むわけないだろう。京介、こいつになんか言ってやれよ」
京介は、あっさり僕に言い放った。
「失礼ですが、バカなのはあなたの方じゃないんですか。上原さんは、筆頭株主だけではなく、富国電気の最大債権者になられたのですよ。あなたはこの会社にいられなくなるということです。会社どころか、社会からもね」
「どういうことだよ」
「説明しなくてもわかります。それより起立される役員の方はいらっしゃいますか?」
京介の話が終わると、ポツリポツリと役員達が立ち始めた。
かつて僕の、父親の部下だった人達だ。
彼らは、僕の方を見ようともせず、天井を見上げている。
部屋のドアをノックし、秘書らしき女性が入ってくると京介に電話を手渡した。
「はい、分かりました。では、お願いいたします」
彼は、そう言うと電話を切って、僕を睨みつけて叫んだ。
「ケンイチ〜。地獄の番犬が、お前に会いたいそうだ。しかし、これでお前も、完全にアウトって事だな。俺はお前みたいな奴の下で、ガキの頃かナンバー2やってきて、ほとほと疲れたよ。ここらで俺が、トップに立っても問題ないよな。
どうでもいいけど、お前は、今まで何一つ自分でやりとげた事ないだろう?いつも誰かに助けられて運良く生き延びてきただけだろう?人を顎の先で使いやがって。いいざまだ」
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