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オン・ザ・ベット


ビットが消えた瞬間、深い海の中に沈んで行くように意識が遠のいた。どれくらい意識がなくなっていたのかは分からないが、一転、水面に浮上する感覚に襲われて僕は目覚めた。

ようやく視界が安定してくると、病院のベットの上にいる事に気付いた。

ふと、目を横にやると、隣のベットでヤスオが楽しそうにマンガを読んでいる。

「あ、ケンちゃん。目が覚めたんだ!」

ヤスオは、僕と目があうと叫んだ。

「ケンちゃん、目が覚めたんだね。いや〜ビックリしたよ」

「オゥ、とりあえず、何が何だか分からないんだけど。ここ、どこ?」

「富国記念病院だよ。富国電気の関連病院」

「そうか、ラボの中の医務室かと思った」

「ケンちゃん、あれから、3ヶ月近く眠ってたんだよ」

「マジで?そんなに?」

「ああ…。僕たちが意識を失った後、富国電気のラボに搬送されて体内のナノロボット除去手術を受けたらしいよ。運良く脳以外の場所を集中攻撃されていたから助かったんだって。もし、脳を損傷していたら、植物人間になる危険性があったって聞いてる。で、その後ここに入院させられたんだ」

「そうか、やばかったんだな。う、ん?なんか、そういえば、誰かそんな事言ってたな……」

「え?何のこと?」

「いや、なんでもない」

「かなり危なかったみたいだよ。それから、理香ちゃんって、ケンちゃんの彼女?時々お見舞いに来てたよ」

「そう、理香がねぇ〜」

「それと、富国電気の上層部の人が来て、あの事件の事は公にはしていけないって言われた。どうやら、美森の研究所は、富国電気と日本政府が秘密裏に研究していたサイバー兵器開発施設らしいよ。COLORプログラムの暴走事件も、今は、単なるプログラムの不具合程度で処理しているみたいだ」

「マジで?よくバレないな?」

「うーん、さすがにマスコミもIT関連企業も怖くて告発できないんじゃない」

「そかそか、それは愉快だな。ところで京介は大丈夫だったの?」


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