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高校の時、僕と京介とハルミは、同じクラスだった。最初は恋心なんてなく、三角形の距離を保つ仲の良い友だちだった。しかし、時間の経過とともに僕はハルミを想うようになっていた。

でも、それは僕の胸の中に秘めるだけで終わった。京介がハルミと付き合い始めたからだ。

何度もハルミを奪おうと思った。友情をとるか愛情をとるか悩んだが、最後には友情を選ぶ事にした。

こんなに、後悔するとは思わなかったな。死ぬときに思い出すなんて……。

まあ、どうでもいいか、終わった事だから。このままどこかに流れていって、僕はあっちの世界に行くんだろうな。そしたら、今度はクローンじゃなくて、本物のオヤジに会えるかな。

少しだけ安らかな気分になって、体を包む暗闇を見つめようとした時だった。向こうの方から黄緑色に光るボールのような物が近づいてくる。

その物体は、僕の顔の前までくると静止して、2、3回ほど点滅した。

「な、なんだ?人魂か?本当にお迎えが来たのか?」

「賢一君、調子はどうだい?」

「ああ、イイっちゃイイが、ワルイっちゃワルイってとこかな。ところでお前は、何者?」

「はじめまして、ワタクシは、ビットと申します」

そう言うと、発光体が変身した。子供のころ、童話の本で見た妖精のような姿だ。

「なんか、おとぎ話の妖精みたいだな。ところでここで何やってるの?」

「話せば長くなりますが……。そう、寄生虫のような守護神のような者です」

「オマエ、どっちやねん〜。で、寄生虫って、さなだ虫かよ。目黒の寄生虫館に仲間がいるのか?しかし、死人に寄生する虫がいるとはねえ……。まあ、お手柔らかに頼みますよ。なあ、ところであの世ってどっちなの?」

「誤解されていると思うのでご説明します。今現在、あなたは仮死状態に陥っているだけで、まだ死亡したわけではありません」

「そうか、じゃあ、もうすぐ死ぬって事か」

「いや、そうじゃないです。あなたの体は今、富国電気のラボのベットの上に横たわっています」

「富国電気のベット?」

「はい、対策チームが、あなたの体に寄生したナノロボット除去手術をおこなっている最中です。運良く脳の中の神経細胞を破壊されなかったので、死ぬことはないでしょう」

「そうか、まだ生きられるのか。ヨカッタ。って、お前、いったい何者なんだよ」

「ヤバイ、隠れなきゃ。じゃあ、さようなら」

「なんなんだ。でもちょっとカワイイ奴だったな。サヨナラ、妖精さん」


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