[携帯小説 COLOR]

→【オススメ】←
人気携帯サイト


僕は、走り寄って地べたに横たわったヤスオの体を少し起こし、語りかけた。

「ヤスオ、大丈夫か。オイ、オイ、何とか返事してくれよ」

だめだ、応答がない。

でも、まだ心臓は動いている。

「テメー、やりやがったな。くそジジイ。マジでやってやるからな。今から、脳みそ掻き混ぜてやるから覚悟キメトケヤ〜」

僕はそう言うと、バイオチップに手をかけた。

クローンが僕をあざ笑うように話す。

「いまさら、そんな事をしても、もう手遅れなのだよ。たとえ私の存在が消滅しても何も変わらない。お前は、もっと賢い人間だと思っていたのに。まったく、困ったものだ。我が息子なのに情けない。お前にも罰を与えよう。神に祈れ」

その瞬間、目がかすみ体の力が抜けた。

「賢一!」

遠くなる意識の中で、京介の声を聞いた。

京介が駆け寄り、僕の体を支えてくれているようだ。

近くにいるのに、彼の声が遠くの方から聞こえている。

あ〜。もう、疲れた。眠たいな。もう、どなってもいいや。

次の瞬間、うつろな意識の中で、照明の光と、慌しい人の動きを感じた。

う……、まぶしい。

誰か人が入って来たぞ。

もう、ぼんやりとしか見えない。

バイオハザードスーツらしき物を身にまとった人達が、こちらへ向かって歩いてくる。

敵か見方か?

分からない。分からない。何も分からない。

どうして、こうなったんだ。

次の瞬間、突然目の前が真っ暗になってしまった。


[][HOME][]

i-mode総合検索エンジン
→【i-word.jp】←


(C)COLOR