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どうやら、こいつには恐怖心らしきものがあるようだ。

「実の息子を疑うの?オヤジ」

「しかしだな……」

狐と狸の化かしあいだ。もうすぐチャンスがやってくる。しばらく、オヤジのクローンと押し問答をしていると、テレビの中のオヤジの目は虚ろになり、やがて眠りについた。

やっぱりな。オヤジは酒好きのくせに、ビールには弱い。ウイスキーや焼酎なら全然いけるが、缶ビール一本であっさり眠ってしまう。

「今だ、ヤスオ。インターネットから切断しろ」

「わかった」

そう言うと彼は、キーボードを叩いた。

「やった!ケンちゃん、インターネットから切断して、ネットワークシステムをダウンさせたよ」

「やれやれだな。これで、ひとまず、落ち着いた。あとはこいつをぶっ壊すのみだ。さっきビールを注いだ管の辺りが中枢機能をつかさどる場所だろう。京介、オヤジの思考回路が記憶されたバイオチップを探してくれないか」

「わかった」

京介は、機械のケースをかたっぱしから壊してバイオチップのありかを探し始めたがなかなか見つからない。

「ヤスオ、そっちの方から何か分からないのか?」

「ちょっと待って。もうすぐ、終わるから。今、メインモジュールにアクセスしてるから」

「まだか。まだか。もう、すぐ目を醒ますぞ。こいつが起きたら、世界が終わるんだぞ」

「アクセス出来たよ。今から、バイオチップをイジェクトするよ」

ヤスオが、キーボードを叩くと、一つの装置のカバーが外れて、中から透明なケースに入った金色に光るバイオチップが出てきた。

「賢一、このバイオチップを取り外してシステムを終了させたら全てが終わる。最後はお前がキメロ。さあ、とどめを刺せ」

「わかった」

僕が、バイオチップのケースに手をかけようとすると、バイオチップから出ている金色の光が呼吸するように、かすかに揺らいでいるのに気付いた。


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