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「そうだな。行こう。ヤスオもいいな」
「じゃあ、とりあえず、あのドアを突破しないと」
話が終わると僕らは、部屋の奥にあるドアの前に向かった。
頑丈なドアの横には、暗証番号を押すボタンとカードリーダーが備え付けてある。
当然、手で開こうにも開くわけがない。
京介は、重い扉を軽く足で蹴飛ばすと呟いた。
「今さっきのヤツ、撤回していいかな。こりゃ無理だろう。IDカードもなければ、暗証番号も分からない。ヤスオ、なんか手立てはあるのか?」
「……ないね。やはり帰った方が良かったのかな」
僕は、ぼんやりとドアを眺めた。そして、京介とヤスオの顔も…。
なんか、変な事につき合わせてほんとにすまねえな。
オレら、こんな所で、この若さで白骨化死体になってしまうのか……。
そう思ったら、涙が出そうになった。
涙?……そうか。
そういえば、ここは無人の施設って錯覚してたけど、そうじゃないよな。
カードリーダーとパスワードロックがあるドアがあるってことは、人の出入りがあるってことだよな。
かなりの人が関わって運営されてるのは間違いない。
人が作ったものは、必ずどこかに欠陥があるものだ。
IDカードや暗証番号が必要って事は、何らかのセキュリティホールを狙えば、このドアの向こうに行けるかもしれない。
そう思いながら天井を見上げた。すると、排気ダクトがこちらの部屋から、むこうの部屋まで繋がっている。
「京介、ちょっと肩車してくれないか?」
「お前、このシュチュエーションで、そんな事いうか。たそがれてんじゃねえぞ」
「いや、違うんだ。上見てみろ、ダクトがあるだろう。あそこをこじ開けて中に入って、向こうの部屋からドアを開けようと思うんだ」
「OK。分かった。ちょっと待てよ」
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