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彼は、そう言うと上着を脱ぎ、僕を肩車してくれた。

ダクトのふたを取り外すのに少し戸惑ったが、何とかダクトの中に入る事が出来た。

暗いな、前方が全く見えない。

しょうがないので、胸元から携帯電話を取り出すと電源を入れた。

携帯のライトが光る。だが、相変わらす、手元しか見えない。

とりあえず、ほふく全身で前に進む。

距離感がまったくつかめない。もう部屋の中ほどまでは来ただろうか。

だとしたら、早くここから脱出して、内側からドアをあけないと。

しかし、下へ降りる方法が見当たらない。

しょうがないので、ダクトのパネルを思いっきり叩いてみた。

だが、何の変化もない。もう一度、ダクトを叩くと、右隅の方に少し隙間が出来た。

悪戦苦闘しながら、ダクトのパネルを外していると、突然下に落ちてしまった。

ぽっかりできたダクトの空間から室内を見ると、部屋の中は暗く、水槽のようなものがいくつもある。人影らしきものはない。

僕は、ダクトから下に飛び降りた。幸い、セキュリティは取り付けられていないのか、反応していないようだ。警告音がなったり、いきなり攻撃を受けることはなかった。

ダクトから部屋の床までは結構な距離があったので、飛び降りた時、足をいためそうになった。でももたもたしている暇はない。急いで出口の緑色のランプが点いている方に向かい、ドアの鍵を見た。

よかった。内側から、手でロックを解除できるようになっている。

ロックを解除し、ドアを開けると、京介とヤスオが入ってきた。


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