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みんな部屋を這うようにして探したが、結局何もみつからなかった。

沈黙の中、京介が話し出した。

「だから、俺が言ったとおりだろう。ここは、単なる倉庫だよ。ったく。あ〜あ〜。これから、どうする?」

僕が沈黙しているとヤスオがワインセラーの方に歩いて行き、ワインを一本持って帰ってきた。

「キョウちゃん、とりあえずワインでも飲んで考えよう。ワインセラーの中にビンテージワインがたくさんあったよ。お金出しても買えないビンテージもたくさんあるから、楽しもう」

「かっぱらいかよ。ヤスオ、お前、随分大胆な事が出来るようになったんだな。まあいいや」

京介は、そう言うとポケットから十得ナイフを出し、ワインをあけた。

しかし、グラスがない。

「グラスならここにあるよ」

無造作に木箱を開けていたヤスオが、グラスを3つ持って戻ってきた。

ワインでグラスを洗い、注ぎ終わると、沈黙の乾杯をした。

冷えていないのに、ずいぶんいい香りがする。

「ヤベーな〜。俺、向かい酒になっちゃうよ。しかし、あれだな。ヤスオ、ここってなんか妙に落ち着かねえ〜?」

「僕も今そう思ってたんだ。なぜだろう。みんな、始めて来た場所なのに……」

「ところで、京介、ヤスオ、これから、どうする?」

僕が訪ねると、京介が口を開いた。

「どうするって、帰るしかないだろう。ヤスオは、どうする?」

「しょうがないね、ここまで来て手掛かりもないし。落ち着いたら、ここを出よう」

僕も二人の意見に同感だ。

深読みしすぎていたが、ここは明らかに店の資材倉庫だ。これ以上探しても、なにも見つからないのは目に見えている。


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