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京介とヤスオが、世間話を始めたので、僕はグラスを持ったまま、奥の本棚の方に向かって歩いた。
本棚の前に立つと、無造作に本を一冊手に取って眺めた。
裸電球の明かりが暗いので、ぼんやりとしか見えないが、どうやらドイツの本のようだ。
内容は、全く分からない。
本を元の場所に戻すと、もう一冊手に取った。今度は、イタリアの本らしい。
あいかわらず、内容は分からない。
また、本を元の場所に戻そうとした瞬間、本棚の本を抜き取った場所から、わずかだが風の流れを感じた。
数冊の本を取り出して中を覗き込むと、本棚の奥に部屋らしきものがある。
「おい、ヤスオ、京介、ちょっと!」
「どしたよ。急に大きな声だして。お宝もんのエロ本でもあったか?」
京介がかったるそうな声を出した。
「バカ、こっちに来てこれを見てみろ」
京介がゆっくりと歩いて来て、本棚の中を覗き込む。
「本棚の奥に隠し部屋か。なるほどね」
3人で本棚の中の本をすべて取り除き、僕が本棚の枠を掴み左右に揺すってみると、少し左側に動いた。
京介とヤスオに手伝ってもらって本棚の枠を掴み、左側に移動させる。
何度も無理に動かしていると、やっと人一人通れるくらいの隙間が出来た。
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