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本棚と歴史


全員、室内に入ったが携帯の明かりだけでは薄暗くて部屋全体が見渡せない。

目の前には、木箱だけが、やたら積み上げられている。

「京介とヤスオは、壁伝いに照明のスイッチを探してくれ。電気が来てるかどうかはわからないけど、明かりがついたらめっけもんだ」

「わかった」

二人が返事するのと同時に、僕も探し始めた。

しばらくすると、ヤスオがスイッチを探し当てたらしく、部屋のあちらこちらに裸電球の明かりが灯った。

どうやら、ここは資材倉庫のようだ。奥には、ワインセラーらしきものまである。

二人が、僕の所まで戻ってくると、京介が僕の顔を見て話し出した。

「どうやら、店の資材倉庫みたいだな。この木箱は、おそらく食器なんかが入ってんじゃないの?」

「そのようだな。いろいろ勘ぐったが、ここは白みたいだ」

ヤスオが割って入った。

「ケンちゃん、キョウちゃん、ちょっと待ってよ。ここに来るまであんな仕掛けがあったんだよ。もっと探してみようよ」

「ああ、そうだな。じゃあ手分けして探してみようか」

「ああ…」

僕と京介は、呟くようにそう言うと、各自疑わしき箇所を捜索しだした。

薄暗い電球の明かりと、少しだけカビ臭い室内にどこか歴史を感じる。

うず高く積まれた荷物の中には、半世紀以上前の物まである。

しかし、どこか懐かしい感じがするな。部屋中をくまなく探したが、怪しい場所は見つからない。


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