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「ケンちゃん。これ結構いけるよ」
「そ、そう…」
僕と京介もしょうがないので、ヤスオのマネをして壁をのぼった。
塀の上まで来ると、三番館の中庭が見えた。
左側には、明かりの消えた店内の様子がぼんやり見える。
どうやら、誰もいないようだ。
しかし、この体勢はさすがにつらい。
「京介、ヤスオ。とりあえず、下に飛び降りるぞ。下に降りたらセンサーがあるかも知れないから、その場で静止しろよ」
彼らは、小さな声で返答した。
そして、次の瞬間、僕らは三番館の中庭の芝生の上に飛び降りた。
京介が、小さな声で呟いた。
「足マジいてーよ。賢一、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。それより、ヤスオは?」
「僕も大丈夫だよ。でも、お尻の方から落ちたから、お尻がいたいよ」
「ちょうど、2つに割れてよかったな。それより、目が慣れるまでここで、しばらく待機しよう」
僕らは、芝生の上にしばらく腰をおろすと、目を暗闇にならした。
そのうち、噴水の位置などが徐々に見えてきたので、京介とヤスオに、噴水に近づくように言うと、身をかがめながら歩いた。
幸いにも、センサーに感知される事なく噴水の場所に近づく事ができた。
僕は、すぐさま噴水に取り付けてある、ライオンのゴールドエンブレムを取り外して、手に取った。
しかし、何も起こらない。
京介が小さな声で僕に話しかけた。
「だからよ〜。この、金色のライオンは、お前のオヤジさんが、この店のオヤジさんに贈った贈答品だったんだよ。それより、どうやってここから逃げるの。もう、あの壁は登れないぜ」
京介は、そう言うとタバコに火を点けた。
「ああ、そうだな。どうやら、僕の勘違いだったみたいだ」
「まあ、話としちゃあ面白かったな〜。例えば、そのライオンさんを使うと、天界に繋がる見えない階段が出てきたりするとかな…」
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