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京介との会話が終わると僕もタバコに火をつけた。
すると、ヤスオが僕に問いかけた。
「ケンちゃん、ちょっとそのエンブレム貸してくれるかな」
「どうするんだ?」
「向こうに小さな獅子舞の石造があるんだけど、なにかの鍵になってるかも。試してみたいんだ」
「ああ、いいよ。でも、なにもなかったら、さっさと引き上げよう」
ヤスオにエンブレムを手渡すと、彼は奥の小さな獅子舞らしき石造の方に向かって歩いて行った。
空を見上げた。
理香は、今頃何してるかな。
早く会いたいな…。
次の瞬間、京介が叫んだ。
「なんだ。床が動いてるぞ」
僕の座っている石畳のレンガは、そのままだ。だが、京介が座っている部分の床は、たしかに動いている。
何が起きたのかさっぱりわからない。だが、床は、しばらく動くと静止した。
「アワワワワ…」
「京介、どうした?」
「した、した」
「何も見えないよ」
「バカ、階段が出てきた」
「え…」
京介の方に近寄ると、石畳のレンガがずれて地下に降りていく階段が見えた。
僕と京介が驚いている所にヤスオが戻って来て話し出した。
「ケンちゃん、向こうの獅子舞にもエンブレムを差し込む場所があったから、ライオンのゴールドエンブレムを差し込んでみたんだ。思ったとおり、隠し部屋の鍵だったんだよ」
「こ、こいつは驚いたな」
京介は、後ずさりするように、地面に向かって開いた階段から遠ざかった。
「それより、この階段やっぱり降りるの?」
「ヤスオ、しょうがないだろう。ここまで来たら引き返せないよ。京介は、どうする?」
「俺は、行きたくないけど一人で帰るのもあれだから。行くよ…」
「そうか、じゃあ、懐中電灯もないんで、携帯で照らしながら行くか。1番始めに、僕の携帯を照らすから、ヤスオと京介は、携帯の電源切ってくれ。じゃあ、いくよ」
僕が、地下に通じる階段を降りていくと、京介とヤスオも恐る恐るついて来た。
先が見えない階段を、僕らは下へ下へただひたすら歩いた。
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