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僕とヤスオは、さすがに疲れてたのでリクライニングシートに横になった。
いつの間にか眠ったらしい。ヤスオの声で目が覚めた。
「ケンちゃん、もう11時を回ったよ」
「お、そうか。京介は?」
ヤスオが、指差す方を見てみると彼は、すっかりゲームに夢中になっていた。
どうやら、僕の話は全く使用していないらしい。
京介が、ゲームをやめると僕らは1階のロッカールームに行き服に着替え、サウナ店から出た。
さすがに、11時を回っているので、店の外は真っ暗だった。
タクシーに乗ろうと思ったが、歩いて行ったら丁度いい時間になるので3人で歩くことにした。それに、歩いた方があやしまれないだろう。
京介は、酔いが醒め体調が戻ったみたいだ。ヤスオとくだらない話ばかりしている。
どうやら、未だに僕の話を信用していないようだ。
こういう奴が、肝試しなんかで、よく幽霊に出くわすんだよね。
しかし、我が町は何かいいな。昨日、見た東京の夜景よりも華やかさは無いけど、なにか心地よい。
それから、三人で会話を楽しみながら歩いているといつのまにか、三番館の前に辿り着いた。
店の中を覗くと明かりも落ち、中には誰もいないようだ。
ふと気付くと、正面玄関と隣のビルの間に人一人通れるくらいの通路がある。
僕は、京介とヤスオに合図をすると、その通路を奥の方に向かって歩き出した。
後ろを、振り返ると京介とヤスオも身をかがめ後ろをついて来ている。
ちょうど、真ん中辺りまできた時に気付いた。確かにこの塀の向こうには、あの中庭があるんだろうが、この3メートル近い高さのある塀をどうやって登ればいいんだろう。
さすがに、ルパンやキャツアイじゃないので、これは無理かと思って振り返ると、ヤスオが、隣のビルの壁と三番館の壁に足をかけ、泥棒のように壁を登り始めた。
そして、小さな声で僕に囁いた。
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