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人気の少ない大浴場の湯船は広い。2人で湯船につかると、不思議な時間が流れ始めた。

「しかし、あれだねヤスオ。お前とこうやって風呂入るの、いつ以来だっけ?」

「確か…。中学校の修学旅行の時かな?」

「ああ、そうか。そうだよな。しかし、大人になったら時間の流れるスピードが早いな」

「そうだね。あっと、いうまだね。それより、ケンちゃん。COLORのメインモジュールが本当に見つかった場合、どうやって停止させるか考えてるの?」

「さっきも話しただろ。ヤスオにわからないものがわかるわけないじゃん。でも、プログラムを停止させるのがお手上げの場合は、ハードウェアの電源を抜けば終わりでしょう」

「そうかな…。何か、そんなに単純じゃ無いような気がするんだよね」

「どういうこと?」

「だから、プログラムを完璧にブロックしているって事は、ハードウェアも、そこいらのパソコンとは違うと思うよ。例えば、叩いたり殴ったりしても簡単に壊れないように作られている思うんだ」

「そうだな…。でも、何とかするしかないだろう」

「うん、そうだね」

「それはそうと、もう1つ気になる事があるんだ。この事件は、誰にもメリットがないだろう?」

「どういう事?」

「つまり、あの噴水の所にCOLORのメインモジュールが存在していても、マダムには何もメリットがないし、僕のオヤジはとっくに死んでるし。富国電気やITコンサルティングの連中が犯人だとしても、自分の首を絞めるだけだし…」

「愉快犯かもしれないよね?」

「それにしちゃあ、手が込みすぎてるしな〜。それより、今の話なんだけど、もしCOLORプログラムを止められなかったら、バード博士に連絡したらなんとかなるんじゃない」

「そうだね。僕らは、とりあえず場所だけ見つければいいよね」

僕らは、風呂から上がると体を拭いて、浴衣を着た。そして、再び京介がいる3階に戻った。

京介は、すっかり酔いが醒めたようで、嫁に電話をしていた。

そして、電話が終わると僕らに風呂に行ってくると言い残し、階段の方へ歩いて行った。


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