[携帯小説 COLOR]
→【オススメ】←
人気携帯サイト
「やはり、上原の情報はガセだったのかな……」
「そうかもな。もう、これ以上探しても無駄って感じだな。とはいえ、どうしたらいいものか」
僕と京介の会話が終わるとヤスオが話し出した。
「確かに、今日一日探して、手掛かりなんて全く掴めなかったけど、まだ終わったわけじゃないでしょう。もしかしたら、駅から15キロ以上離れた場所にあるのかもしれないし……。そうでしょう、ケンちゃん」
「まあな…。でも、僕は、どうも上原の事がイマイチ信用できないんだよな。京介は、どう思う?」
「俺もだな。美森で一番怪しい場所っていったら、発電所と犬井山の例のジイサンだよな。それが違うのなら、もしかしたら、あの上原って奴が隠し持っている可能性が高い……」
みんなが、無言になると、いつのまにか料理が運ばれてきて、テーブルの上に並べられた。
僕らは、何も語らず、ただ黙々と食べた。
気付く、いつのまにか京介がワインをガブガブ飲みながら、ヤスオに嫁の愚痴をこぼしている。
ヤスオも、食が満たされたのか、京介に勧められたワインを飲みながら、自分の彼女の相談をしていた。
どうやら、彼らは、あまりこたえてないみたいだ。
しかし、まいった。本当に変な事件に巻き込まれたな。今さらこんなことを言っていても仕方ないんだが。
京介やヤスオを横目にそう考え込んでいると、子供の頃に両親とこの店で食事をした事を思い出した。
オヤジもオフクロも若かったな。それに、僕はまだ子供だった。
あの頃に、もう一度戻りたいな…。
そう言えば、オヤジがあの時何か言ってたな。
なんだっけ。思い出せない。いつだったか、何か大事なことを聞いた気がするんだけど。
我に帰ると、京介とヤスオが僕の顔を覗き込んでいた。
そして、京介が少し陽気に僕に話しだした。
「賢一、今日は、まあ、あれだ。あれだと言うか、なんだっけ?」
「お前、空腹で一気に酒飲んだから、酔っ払いやがったな。ヤスオ、だいじょうか?」
「ああ、僕もちょっと酔っ払ったけど意識はあるよ」
「そうか、じゃあ店出るか」
[←][HOME][→]
i-mode総合検索エンジン
→【i-word.jp】←
(C)COLOR