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「やはり、上原の情報はガセだったのかな……」

「そうかもな。もう、これ以上探しても無駄って感じだな。とはいえ、どうしたらいいものか」

僕と京介の会話が終わるとヤスオが話し出した。

「確かに、今日一日探して、手掛かりなんて全く掴めなかったけど、まだ終わったわけじゃないでしょう。もしかしたら、駅から15キロ以上離れた場所にあるのかもしれないし……。そうでしょう、ケンちゃん」

「まあな…。でも、僕は、どうも上原の事がイマイチ信用できないんだよな。京介は、どう思う?」

「俺もだな。美森で一番怪しい場所っていったら、発電所と犬井山の例のジイサンだよな。それが違うのなら、もしかしたら、あの上原って奴が隠し持っている可能性が高い……」

みんなが、無言になると、いつのまにか料理が運ばれてきて、テーブルの上に並べられた。

僕らは、何も語らず、ただ黙々と食べた。

気付く、いつのまにか京介がワインをガブガブ飲みながら、ヤスオに嫁の愚痴をこぼしている。

ヤスオも、食が満たされたのか、京介に勧められたワインを飲みながら、自分の彼女の相談をしていた。

どうやら、彼らは、あまりこたえてないみたいだ。

しかし、まいった。本当に変な事件に巻き込まれたな。今さらこんなことを言っていても仕方ないんだが。

京介やヤスオを横目にそう考え込んでいると、子供の頃に両親とこの店で食事をした事を思い出した。

オヤジもオフクロも若かったな。それに、僕はまだ子供だった。

あの頃に、もう一度戻りたいな…。

そう言えば、オヤジがあの時何か言ってたな。

なんだっけ。思い出せない。いつだったか、何か大事なことを聞いた気がするんだけど。

我に帰ると、京介とヤスオが僕の顔を覗き込んでいた。

そして、京介が少し陽気に僕に話しだした。

「賢一、今日は、まあ、あれだ。あれだと言うか、なんだっけ?」

「お前、空腹で一気に酒飲んだから、酔っ払いやがったな。ヤスオ、だいじょうか?」

「ああ、僕もちょっと酔っ払ったけど意識はあるよ」

「そうか、じゃあ店出るか」


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