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そう言うと、ヤスオは足元のふらつく京介に肩をかしてやり、僕の後を歩いた。
レジで会計を済ませると、店を出て腕時計を見た。もう、8時を回っている。
やばいな、とりあえず会社に電話しといた方がいいかな。
そんな事を考え、一度深呼吸した後、夜空を見上げた。
視線を戻して、店の入り口を見ると、ドアノブの所に、ライオンの装飾がしてあるのに気づいた。
その瞬間、僕の脳裏に今さっき思い出そうとしていた父親の言葉がよみがえってきた。
「賢一、ライオンは世界中の動物で一番強く、知性も兼ね備えた動物なんだ。人類が滅びたらライオンの世の中になるかもしれないぞ」
そうだ、あの言葉は、そう言う意味だったんだ。
「ヤスオ、分かったよ」
「え、何が?」
「だから、COLORプログラムだよ」
「それで、どこに?」
「ほら、店の中の噴水だよ」
「この前来た時、マダムと話していた事?」
「ああ、そうだ。美森駅から半径15キロ以内の場所で、僕のオヤジの痕跡がある場所といったら、ここしかない」
「それじゃあ、今から行くの」
「いや、しばらくどこかで暇を潰した後、店が閉店した後に裏口から中庭に忍び込もう。それに、京介も完全に酔いつぶれてしまったからな」
「じゃあ、会社に電話して応援を頼もうか?」
「それは、やめておこう。富国電気の中にも必ず内通者か犯人がいるはずだ、会社に連絡したら、きっと妨害されるだろう」
「そうだね。それじゃあ、今からどこに行くの?」
「そうだなあ…。駅前のサウナで少し休憩して、京介の酔いを覚まさせようか?」
僕らは話が終わると、店の前でタクシーをつかまえ、駅前のサウナに向かった。
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