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「いや、あれは、みんな集めたね。そう言えば、あの頃はコーラもビンだったな」
2人の会話が終わると、僕はしばらく助手席側のドアから夜景を眺めた。
今日も、この街は眩いばかりに闇夜を照らし続けている。
月並みだが、宝石をちりばめたようだ。だが、美しいというよりは、この輝きを失うのは怖いと叫んでいるようにも見える。
この輝きも、この国を動かしている経済システムが作り出しているのだ。
言い換えれば、この夜景の輝きは、資本主義の輝きとも言える。
その中に恐怖に似た叫びを感じるのは、資本主義の終焉が感じられる時代になったからかもしれない。
世界経済が不安定になり、資本主義や社会主義が崩壊しかけたこの瞬間に、僕らは生きている。
ずいぶん前になるが、佐藤が僕にマルクス主義は、やはり間違っていたと話した事がある。
ずいぶん長々とした話だったが、要点はこうだ。
マルクス主義をはじめとした社会主義は、机上の論理で、無限の生産力があってはじめてシステムがうまく回る。
マルクスは、本質的に人間の存在を性善説として捉えているから、そこからシステムが崩壊した。
ドストエフスキーの罪と罰を見ればわかるように、富を持つ者は働くことをやめて他人の富を収奪するようになってしまう。
資本主義の矛盾もそこに集約される。富を持つものは働かなくなるし、仮に働くにしても、富を持っている者の方がより裕福になれる。
あげくの果ては、他人が生きるためのパンを買い占めて、高値で売りつけて収益を得るようになる。
さらには、貨幣を商品とみなして、他国の経済システムを混乱させてさらに富を得ようとする人間が出てきて、抜き差しならない時代を作り上げてしまった。
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