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「いや、メインモジュールは、各パーツとは違って、大規模なハードウェアじゃないと起動しない。したがって、どこかの施設の据付の大型コンピュータで動いているはずだ。賢一、よく思い出してくれ。義明兄さんがCOLORプログラムの開発にたずさわっていたと言う事は、お前が良く知っている場所にあるはずだ」

「う〜ん。そう言われても……。今まで、いろんな所にいったけど、どこにもそんな大型コンピュータ機器なんてなかったよ」

「そうか…。じゃあ、頑張ってくれ」

オジさんは、僕の肩をポンポンを叩くと顔をしかめながらラボから出て行った。

頑張ってくれって、言われてもなあ。突然、携帯電話が鳴ったので出てみると、理香だった。

「ケンちゃん。今日、お泊りしても宜しいでしょうか?」

「あ〜〜。今日はダメだ。て、言うか今会社で仕事してるんだ」

「まだ、仕事してるの?」

「ああ……。ちょっと急用でね」

「そう、じゃあアキラメマス。体に気をつけてね。無理しちゃダメだよ。じゃあね」

彼女は、そう言うと電話を切った。

理香の声を聞くと少し気分が和らいだが、ものの数分も経たないうちに、今度は別の人間から電話がかかってきた。

上原だ。タイミングが悪すぎる。今、何かつっこまれたらとてもまずい。

震えながら通話ボタンを押すと、上原は穏やかな声で話し始めた。

「栗原さんですか?」

「はい」

「よかった。直にお話ができるのは有難い。それはそうと、御加減どうですか?」

「いや、別に良くも悪くもありませんよ」

「そうですか?声が震えていますよ。風邪ですか?」

「いえ、別に……」


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