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「なんだよ」
「ヤバイよ。かなりヤバイよ」
「え、何がヤバイの?」
「今回のCOLORプログラムの暴走で政財界の裏金が世間に暴露されたら、富国電気の経営陣は総退陣させられて、私財も没収されかねないよ」
「ああ、そうだな。でも、今そんな事ボヤいていてもしょうがないだろう。さあ、中に入ろう」
僕は、ヤスオの肩を軽く叩いてラボのドアを開けた。
ラボの中に入ると、康市を除く緊急対策課のメンバーと重役達が集まっていた。
会長であるオジさんとバード博士は、みんなから少し離れた場所で、話しをしている。
僕が到着した事に気付いたらしい。二人とも、僕の側に歩いてくるとバード博士が話し出した。
「賢一君、もう状況を理解出来ていると思うが、今回の事件はCOLORプログラム・イエローの仕業だという事が判明した。でも、どこから攻撃を仕掛けてきているのか、まるで分からない。
クライアントのサーバーやパソコンを調べたが、ウィルスに感染したり誰かが不正ファイルを仕掛けた形跡もない。
どうして、厳重に管理しているファイルが流出しているのか、まるで分からないんだ……」
「そうですか…。でも、COLORプログラムが、どこかに悪質サイトを作成したとしたら、そのサイトにクライアントが接続した時、一時的にコンピューターをロックして情報を引き出すことが出来ますよね」
「そうだね…。その方法しかないな…」
僕とバード博士の話が終わるとオジさんが話し出した。
「すまないが、みんな私の話を聞いてくれ。実は、先月からゴールデン・パートナーというヘッジファンドが富国電気の株を買い増してきている。もし、この件を早急に沈静化出来なければ、株価が暴落し、彼らが議決権ベースの株式を取得して経営権を奪うだろう。
ブログや掲示板などのポータルサイトを運営している大手企業には、IPアドレスをブロックして不正記事の削除を要請してある。後は、COLORプログラムを叩くだけだ。
賢一、お前達はCOLORプログラムをのメインモジュールの所在を探し出すことに専念しておくれ」
「はい……。でも、COLORプログラムはIPアドレスを書き換えて、世界中を縦横無人に動き回り、危なくなったらナノロボットに退避して逃げるわけだから、お手上げですよ」
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