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僕は、まんまんと罠にハメラレてしまった。

今、自分のこめかみに当てているピストルも、小細工しているに違いない。

弾一発しか入っていなくても、引き金を引けば、確実に弾が発射されるようにセットされているだろう。

死ぬのか。俺は死ぬのか。

こんな女に関わったのがマズかった。

自分の人生を振り返ってみると、かなりいい線走ってたのに…。

俺は、こんな所で死ぬのか…。

「栗原さん、どうかなされました?」

彼が僕に問いかけた瞬間、自分のこめかみに突きつけていた銃口を彼に向けて、引き金を引いた。

彼が椅子から床に崩れ落ちると同時に飛び掛り、馬乗りになって思いっきり顔面を殴った。

「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す。テメェーはゼッテェ〜殺す」

しばらくすると、理香が僕の腕を掴んで叫んでいた。

「ケンちゃん。ダメだよ。これ以上やったら本当に死んじゃうよ」

彼女の言葉に気付き、我に返ると目の前に顔面が血だらけになった男がぐったりとしていた。

マズイ。やりすぎたか。しばらくすると、彼はおもむろに立ち上がった。そして自分のジャケット脱ぎ、袖で顔についた血を拭うと笑みを浮かべた。

「栗原さん、私達の商売はこれが必需品でね」

彼は、こういう状況を想定していたらしく、ジャケットの下にあらかじめ防弾チョッキを装着していた。

僕の放った銃弾は、彼の防弾チョッキの右胸の辺りに当たったようだ。

「栗原さん、私の負けです。結果的に、私はあなたの拳に負けてしまいましたからね。しかし、まさかあの状況で殴りかかってくるとは思いませんでした。普通の人間なら諦めますよ。つくづく面白い人だ。気に入りました。栗原さん……。どうですか?私と組みませんか?」

「ど、どういう事だ」

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