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「そうか、そうだな。考えすぎか」

佐藤と康市だけ自宅待機にさせたのは、特に理由がなかったのかもしれない。ゴリは白か。だとしたら一体誰が?僕らの周りには怪しい人物はたくさんいるが、いまいち根拠がない。こんなことをやっても、誰にもメリットがないからだ。その言葉を境に、僕とヤスオは口をつぐんでしまった。

ふと気付くとマダムが料理とワインをテーブルの上に並べていた。

「相変わらずだけど、すごい料理だよね」

ヤスオの言葉に、マダムもまんざらでもないらしい。満足そうな笑みをうかべていた。

「ご注文は以上になります。もしなにかございましたら、お気軽に」

「んじゃ、食べようか」

マダムがテーブルを離れた後、ワインのグラスを合わせて乾杯した。

「う、眩しい。またかよ……」

ワイングラスを置いた時だった。噴水のライオンのが反射させている光が、また僕の目にとびこんできた。

「ケンチャン、どうしたの?」

「悪い。ちょっと待っててくれるかな」

せっかくの食事の時に、気になって仕方ない。僕は、フォークを置いて、ライオンの噴水の所まで行くと、光を放っている場所を探した。僕が探している間も、光の反射は続いている。ようやく光を放っている場所を探して触れてみると、エンブレムだった。

ゴールドのエンブレムは、中世のヨーロッパの家紋のようなデザインだった。思わず手を伸ばして、エンブレムの表面を指でなぞってみた。

「あれ?」

何か、ズレたぞ。ていうか、外れかかってる。ヤバ……。って高価なものなんだろうな。僕が、慌ててエンブレムを元に戻そうとした瞬間、エンブレムが外れて落ちてしまった。最悪だ。どうしょう。

僕がアタフタしていると、マダムが気付いて、こちらに走って来た。

「お客様、どうかなされましたか?」

「いえ、ちょっと……。光が目に反射するんで気になって近寄ってみたら、さわったとたんに外れたんですよ……」

「そ、そうですか。別に何も問題ございいませんので、お席に戻られてお食事を楽しんでください」

マダムは、そう言ってくれたものの、さすがに表情が怒っていた。これはさすがに気まずい。僕は、頭を下げて詫びると、床に落ちたエンブレムをマダムに手渡した。その時、エンブレムの裏面が見えた。

「なんだ、これは……」

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