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「てめえ、何をたくらんでるんだ」思わず言葉が飛び出そうになったが、飲み込んだ。何の確証もないし、自分の思いこみだけでアクションを起こすのはまずい。とりあえず、今は事を荒立てないほうがいいだろう。
「それはそうと、早見君はだいぶヤラレタみたいだな」
ゴリの言葉に京介が敏感に反応した。
「いや〜。これは、ちょっと油断いたしまして……。それより、ゴリさん今さっき話していたロボット三原則って何ですか?」
ヤスオが割って入った。
「ロボット三原則っていうのは、アイザック・アシモフっていう作家が作品の中で登場させたロボットの基本原則を、実用化したものだよ。
ロボットプログラムの中に入っているオペレーティングシステム(基本プログラム)のコアな部分に書き込まれてて、ロボットが人を傷つけたり自分自身を破壊できないように設定してあるんだ。たしかケンチャンのオヤジさんとバード博士が設計したんだよ」
ゴリが書類を机に置くと僕の方を見ながら話した。
「その通りだ。その三原則が書き込まれたメインモジュールが何者かに書き換えられている。それであんな事故が起きたってわけだ」
「本当はおまえが仕組んだんじゃないのか?」思わず口走りそうになった。だが、僕は言葉を飲み込んだ。そんな証拠はどこにもない。それに他の可能性だって考えられる。
もし、ゴリの体内にカラープログラムを搭載したナノロボットが感染しているとしたら?
新たに自己増殖をはじめたカラープログラムがコンピューターだけじゃなくて、生物の精神活動ですらコントロールできるようになってるとしたら?
ありえない話じゃない。とにかく冷静にならないと。だけどどうしたらいい?そう考えていたら、ゴリが言葉をつないだ。
「メインモジュールを新たに書き換えるには、バード博士とお前の親父さんが設定した2つの暗証コードが必要なんだ。現時点で誰がどうやって三原則を書き換えたのかは謎だがな……。栗原、お前なにか知ってるか?」
「いえ、知りません。三原則ですか……」
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