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休暇申請

僕らを乗せたエレベーターが商品管理室のフロアにたどり着くと、全員エレベーターから降りオフィスのドアを開けて中に入った。今日は誰も出勤していないようだ。

どうやら、佐藤と康市も今日は出てきてないみたいだ。それなりに人の出入りがあるオフィスが静まりかえっているのは、なんだか不気味だった。

「とりあえず、俺の席の近くに集まってくれ」

ゴリは、オフィスの正面に構えた自分の机に向かうと、椅子に腰掛けた。

「お前らが、横浜に行っている時、営業の奴が誤発注をやらかして大変だったんだ。ほんとは、全員休日出勤させなきゃいけなかったんだが、こんな事態だから、他の社員は全員自宅待機にしたんだ」

ゴリは自分の机の上に山積みになった書類を見ながらそう言った。

「そうですか……」

僕は、それ以上何も言わなかった。自宅待機させられたほとんどの社員はカラーの問題には気づいてないだろうけど、少なくとも佐藤と康市はそのことを知っている。

たぶんそのことはゴリもわかっているはずだ。とりあえずはゴリは、これ以上の情報の拡散を防ぐために、全員を自宅待機にした方がいいと考えたのだろう。

ひょっとして、ITコンサルティングに籍を置いている佐藤と康市に、これ以上の情報をつかませたら、富国電気の経営陣を退陣に追い込む材料を与えることになりかねないと思って僕たち以外は全員自宅待機にしたのだろうか。

もしそうだとしたら、美森でゴリが麻酔弾に被弾したのは茶番だってことになる。それどころか、COLORの事故自体ゴリが裏で糸をひいてる可能性が高い。

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