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「これがそうかね?」
「この携帯の中にパープル・パーツがインストールされたナノロボットが、閉じこめられているようです」
「そうか、とりあえず、みんな中に入ってくれたまえ。ゆっくり話そう」
僕らは、バード博士に招かれるまま、ラボの中に入った。そして無言で歩く彼の後に続いた。
膨大な数のコンピュータサーバーの群れを抜けると、数人の研究員がさまざまな作業をしていた。みんな徹夜が続いているらしい。顔色に疲労が見える。
「おーい。みんな、賢一君達がパープル・パーツを確保したぞ」
彼の言葉に研究員たちは少し驚いたようだったが、無言でこちらに歩み寄ってきた。
「みんな、賢一君がパープル・パーツを確保してくれた。この携帯電話の中に潜り込んでいるらしい」
バード博士が携帯電話をみんなに見せると、研究員の一人が小さな声で話し出した。
「なるほど、NTTドコモの回線にアクセスしてもホストサーバーでブロックされてるから、この中から出られなくなっているのか……」
「僕もそう思います。ドコモのサーバーは、セキュリティーの壁が厚くて、不正アクセスに敏感に反応しますから。この携帯の中にいるパープル・パーツは何度も送信を繰り返しているけど、ドコモのサーバーはそれを延々と拒否しているんでしょう。おそらくそれで、無限ループが起きて、ナノロボットが閉じこめられてしまっているんだと思います」
僕と研究員の話を聞いたバード博士は、やっと状況を把握できたようだ。
バード博士は、研究員に携帯電話を手渡すと、彼らにすぐさま解析作業を進めるように指示した。
研究員達は、素早く持ち場に戻ると解析作業を始めた。その様子を見ながら、バード博士が僕に話しかけた。
「しかし、こんな短期間でよく確保できたね」
「まあ、奇跡的に確保できたって感じです。危うく殺されそうになりましたけど……」
「そうだろうね。早見君の顔を見ると大体の見当はつくがな……。それより、奥のラウンジで少し話でもしよう」
「はい」
後ろで立ちつくしている京介とヤスオに目で合図すると、ラウンジの4人掛けのテーブルについた。
「パープル・パーツは、横浜のホームページ製作会社でバイトをしている周高潔という奴が持ってたんですけど、成り行きで仕方なく無理やり取り上げて来ました」
「ふ〜む。どうして彼はCOLORの事を知っていたんだろう?」
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