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「どうする?」

京介が尋ねた。

「どうするって、中に入るしかないだろう?行くぞ」

さすがに、8時を回っているので、どの階も窓に映る電気が消えていたが、2階の事務所だけは赤々と電気が点いている。

僕らは、エントランスから入ると2階へ続く階段を登った。幸いセキュリティもないし、警備員もいない。地図に書いてあるMSL企画という会社には、簡単にたどりついた。

「大丈夫かな? なんかあっさりしすぎて、はめられたっぽくない?」

京介がビビッた声を出した。

「そうかもしれないけど、ここまできたらひくわけにもいかないだろ?」

ドアの前で気配をうかがって見たが、中にいる人の声は聞こえない。

事務所のドアをノックし応答を確かめる。何度かそのような動作をするが返答がない。

しょうがないので、ドアノブを回しドアを押してみると、あっさりドアがあいた。鍵がかかっていない。

「すいませ〜ん。どなたかいらっしゃいませんか?お話うかがいたいんですけど」

小規模な、ごくごく普通のオフィスだった。電気は点いているものの、社員は誰もいない。だが、誰かがいる気配がする。

「帰るか? なんかやばくね?」

「そうだな。考えたら丸腰だし、ここは一旦引きあげたほうがいいかも」

僕らが、帰ろうと思っていると奥からスーツを着た人が出てきた。

見たところ、20代前半で小柄な男だ。どうやら夜食の準備をしていたらしく、大切そうに両手に、焼きそばUFOを抱えている。彼は僕らに気付いたのか話かけて来た。

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