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「ほんとですか。じゃあ、今から、その人に会えますか?」
「いや〜、それが…。その〜、うちの二代目は本来店の後を継ぐ立場なのですが、諸事情がありまして…。つまり、店の仕事はせず悪ガキ共と毎日遊んで、お金がなくなると店にお金を貰いに来る有様でして……それでひょっとして、とんでもないことをしているんじゃないかと思った次第でして」
彼は汗をふきながら、答えた。狼狽する様子からして、嘘ではないらしい。
「それで、彼の居場所なんか分かりますか?」
「高潔…。二代目は周高潔と申しまして、仲間の溜まり場を転々としているのですが、貞永さんという方が、御友人で何か知っておられると思います」
彼は、そう言うと貞永という人物が経営している会社が入ったテナントビルの地図を手渡してくれた。
僕らは、彼に礼を言うと中華街を後にした。
「急ごう」
京介とヤスオの両肩を叩くと、二人とも無言でうなずいた。地図を見ると、住吉町となっている。
時計を見るともう8時を回っている。歩いていけない距離でもないけど、急いだ方がいい。
手をあげると、あっさりタクシーがつかまった。
「住吉町まで」
後部座席に乗り込むと、運転手にウェイターから手渡された地図を見せた。タクシーはUターンして住吉町に向かう。ガセネタかもしれないが、なんだか解決の糸口をつかめそうな予感がする。
地図に書かれていたビルの前に着くと、千円札を一枚はらって、僕らはタクシーを降りた。
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