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麻美の方を見る気にはなれなかった。痛くてたまらない気持ちが強く響いてくる。用がないなら、早く向こうへ行ってほしい。
でも、次の瞬間、もっとショックな事を聞いてしまった。
「実は、俺達、婚約したんだ。今年の6月に結婚式が決まったから、お前も出席してくれよな」
「ああ……わ、分かった」
京介が、僕を気にして、小さな声で返答した。
「ちょっと飲み物買ってくる」
僕は、いたたまれなくなって、その場から無言で去った。去り際に、麻美の顔見た。目がとても輝いていた。僕にではなくアキラにだけどね…。
こうなる事は、分かっていた。でも、心が痛い。
しばらく、1人で歩いていると京介とヤスオが追いかけてきた。
「喉渇いたんなら、飯でも食いながら、一杯やらないか?」
相変わらず京介は優しいやつだ。麻美の事には触れなかった。
涙が出そうになったが、冷静なふりをして話をヤスオに振った。
「ヤスオは?お前がいいんだったらここでいいよ」
「ここにしよう」
ヤスオも気を使ってくれているようだった。店の看板を見てみると、大きな文字で中華楼と書かれていた。
「何名様ですか?」
店に入ると、カウンターの女性店員が話しかけてきた。京介が指を三本立てると、彼女は店の奥に入って行った。
「ここの店、個室を使う時は予約が必要らしい。空きがあるか調べてもらってるから」
しばらくすると、店員が戻ってきて、僕らを二階の個室へと案内してくれた。僕らは、テーブルにつくとメニューを3部もらい各自オーダーを決めることにした。
「春だから、上海蟹なんてのもいいんじゃない?」
「そうだね。少し値が張るけど、おいしいと思うよ。あとは、あんかけ炒飯」
「お、いいんじゃない?」
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