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昔、オヤジに言われた事を思い出した。
本当に強い男は、嘘をついたり自分より弱い人を傷つけちゃダメだ。
弱い立場の人や困った人を助けられるのが、強い男なんだ。
オヤジの言葉が今頃になって、また身に染み渡ってきた。
「ヤスオ、ゴメンな。いや、今さら謝ってもすまないと思うけど…」
京介も僕に続いて小さな声でヤスオに謝罪した。
「スマン…」
きっと、照れくさかったんだろう。京介はバツが悪そうだった。
ヤスオは目を赤くして僕と京介に話し出した。
「ほんとは、そこまで恨んでないから、もう気にしなくてもいいよ。よく考えると、僕が後輩達に殴られた時も二人で仕返ししてくれたからさ。
でも……なんか、おかしいんだ。富国電気に入社したころは、ケンチャンやキョウチャンの事忘れていたのに、Mr.COLORからメールが送られてくるようになってから、なんだか無性に腹が立って志方ないような気持ちになった。心の奥底に眠っていた怒りが呼び覚まされたっていうか。
そもそも、富国電機に入れたのが不思議なんだ。入社試験の時、下痢気味で筆記は全く出来なかったし、面接も全くダメだったんで一次選考で落ちると思っていたんだけど、結局内定もらえたんだ。今考えたらおかしなことだらけだ」
僕はヤスオの顔をじっと見ると話しかけた。
「俺達は、何か巨大なものにコントロールされているんじゃないか?」
「コントロール?」
「ああ、俺達が知らない間に、色々なことが仕組まれていて、さも俺達が自分たちの意思で決めて行動しているように、動かされてる。そんな気がしてしかたない」
「まさか、考えすぎだろ」
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