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「ああ、大学出て富国電気に入社したらしいよ。あいつんちのオバちゃんが、近所のスーパーで自慢してたからな」

「うちは社員数多いからな、まだ会ってないよ。でもまあ、いまさら会ってもな……」

「だな…。いまさらな…」

それきり、言葉が途切れた。ペコちゃんは、相変わらず僕をにらみつけている。どうやらペコちゃんは、マサハルに完全に気持ちが傾いてるみたいだ。

「マサハル、彼女を大切にしてやれよ」

「分かった……ありがとな」

彼は、まだ何か言いたげだったが、これ以上話を聞く余裕もない。そういえばみんなと話しをしている最中だった。回れ右をしてテーブルに戻った。

席に着くと、康市が僕の肩をポンポンと叩いた。

「賢一さん。気持ち切り替えて行きましょう」

康市は僕の気持ちを察して気を使っているようだ。

「そうだな。でも、ペコちゃんが話せるようになってよかった」

「そうですね。ところで、話聞こえてましたけど、今さっき話していたヤスオって誰ですか」

康市が僕に問いかけると京介が割って入った。

「俺と賢一の高校の時のパシリで、イジメられっ子だよ」

「へぇ〜そうなんですか。でも、そうだったら賢一さん達に挨拶しに来てもいいんじゃないんですか。東京にいるわけだし。いくら富国電機が大きいっていっても、社内の場所くらいわかるでしょうから」

僕と京介は返答に困った。また、しばらく沈黙が続いた。ヤスオとは、こじれたままになっているからだ。なんとなく察したのか、佐藤がピッツアをつまみながら別の話を振った。

「そう言えば最近スパムメールがやたらくるんですよ。もしかして、そのヤスオって人がイタズラしてんじゃないでしょうね」

「スパム…。どういうやつ」

「なんか差出人がMr.COLORって名前で、メールの内容が0と1だったり、時々英文が少し書かれていたりするやつなんですけど…」

佐藤の話に、みんな顔を見合わせた。

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