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兵隊からの贈り物

不安だったけど、昨日東京から出てきたばかりのところに、早朝から登山する羽目になって疲れきっていたから、休憩できるのはありがたかった。沈黙が重くなりはじめたころだった。いきなり少し白んだ空が明るくなった。

「あれ? 花火?」

「だまれ」

僕が大声を出しそうになると、ゴリが慌てて僕の口を手で塞いだ。

ゴリは僕の耳に近づいて、小声で話だした。

「あれは、味方の作戦開始の合図の照明弾だ。予定通り進行すれば、もう一度照明弾があがるはずだ。おとなしく待機しておけ」

味方? どういうことなんだ?

空を眺めるゴリの横顔に緊張感が漂っている。息を潜めてしばらく待っていると、照明弾があがった。一瞬だったが、暗い森が真昼のように明るくなった。

ゴリは素早く立ち上がると、叫んだ。

「よし、行くぞ。お前らも急げ。もたもたするな」

「ちょっ、ちょっと待って下さい、ゴリさん。行くっていっても……。なんか作戦があるなら教えてもらえませんか」

「とにかく歩け。もたもたしてたら命取りになるぞ。次のポイントについたら教えてやる。死にたくなかったら、急いで俺についてこい。GPSのスイッチは入れておけよ」

納得いかなかったが、仕方ない。既に闇の中に飛び出したゴリを見失わないように、急いで後を追う。

「康市、急ごう」

「はい」

後ろを振り返ると康市が僕らの後をついてきていた。闇夜ではっきり顔が見えないが、距離が少し縮まると、不安感で一杯の表情が感じ取れた。

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