[携帯小説 COLOR]
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さすがに、運動不足なのか息が切れる。でも、ゆっくりなんてしてられない。夜明け前に二の岳に登り始めないと、ソッコーやられちゃうからな。
しかし、ゴリは何を考えてるんだ。この3人でどうやって、世界の戦場で戦い抜いてきた傭兵たちと戦う気なんだ。しかも丸腰なのに。
少し腹減ったな。朝飯ぐらい村上さんちで食べさせてもらえばよかった。
そんなことを考えながらゴリについて歩いていると、なぜか麻美の事を思い出した。それから、今までのいろんなことを思い出した。そして、考えた。
結局、自分の人生の中で、僕のために命をかけて戦ってくれる人間は、康市だけしかみつからなかった。家族を守らなきゃいけなくなった、京介の気持ちと立場は分かる。COLORのことを、ITコンサルタントを通じて、康市や他のみんなに伝えるのが、精一杯だったんだろう。
でも他の奴らはどうだ。京介からカラープログラムの話が水面下で伝わっているはずなのに、誰も手を貸そうとはしない。
まあ、これが現実ってやつだな。生きて帰ってこれたらどうするか考えられる状態じゃないけど、康市を富国電気に引っ張って僕の側近にしよう。こいつだけは信じられる。
どれくらい歩いたろうか。民家どころか、林道もなくなり、腰くらいまである草だけが目立つ獣道になった。
「どうした? 行くぞ」
GPSで位置を確認したゴリが言った。僕と康市は、ゴリの後に無言で続いた。ゴリは相変わらずタフだった。ずんぐりとした体の割には足が速く、俊敏な動きを見せる。
腕時計のライトのボタンを押して確認するとAM:04:49分だった。
たった30分ほどしか歩いてないのに、これだけ疲れるのか。こんなんで、本当にカラーパーツを無事に取って戻ってこれるんだろうか。
しばらく歩くと、大きな看板らしきものが見えてきた。近くまでくると、ゴリは立ち止まって、手持ちのマグライトで看板を照らした。「二ノ岳登り口」
どうやら、二ノ岳の入り口まで来たらしい。
「二人とも座れ」
ゴリは、命令口調で言った。康市と顔を見合わせて、そのまま地面に腰を下ろす。
「よし、お前ら黙って俺の話を聞け。とりあえず、あと十分程度ここで待機だ」
「待機って?」
「質問は許さんといったはずだ。久しぶりでさすがに疲れた。俺も休ませてもらう」
ゴリの指示の意味はさっぱり分からなかったが、とりあえず指示に従って待機することにした。ゴリはそんな俺たちなどおかまいなしに、隣に座ると、腕時計で時間を計り始めた。
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