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「うっとうしいガキだが、少しは使えそうだな。ついてきたいなら勝手についてこい。ただし、足手まといになるようなら、その場で俺がお前を消すことになるかもしれんぞ」

ゴリの目の中に非情な光を見た。同時に、僕がこれから向かおうとしている場所の恐ろしさを身にしみて理解した。

「どうした? ビビッたのか? だったらさっさと帰れ」

「俺、それでもついていきますから」

ゴリが恫喝しても、康市は、引き下がる気配を見せなかった。

「康市、1つ約束してくれ。もし自分の身が危険に感じた時は、迷わず逃げろ.。お前だけでも必ず生還して、佐藤の所に行って現状を報告してくれ」

僕がそう言うと、康市は無言でうなずいた。

「ゴリさん、もう一度聞きますけど、こいつも連れて行っていいですよね?」

「いいだろう……。俺たちが死んだ時に、誰かが報告してくれないと悲しいからな。俺は、彼女に俺が死んだことを伝えてもらうことにしよう」

「じゃあ、僕はTSUTAYAのDVD返してもらうように頼んでおこうかな。延滞料金が気になるし」

僕とゴリの間で笑いがもれた。

「何のことっすか?」

康市が首をかしげた。

「なんでもないよ。もたもたしてる暇はない。行くぞ」

ゴリは、康市の言葉を無視して、そのまま踵を返した。でも、どこか悲しそうだった。

確かにそうだ、僕もゴリも富国電気の失態を隠すために、命をかけて任務を遂行するのだ。それなのに、このプロジェクトが成功しても、僕らの功績は社会から賞賛を浴びることはない。

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