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暗闇の中、進軍をはじめた。わずか3人の兵隊で……。

少しずつ夜が明けてきているが、日の出までにはまだ時間がある。山の稜線は縁取ったような光がさしている。だが、ぼくたちの周囲は真っ暗だ。地平に傾いた月の明かりもほとんどない。油断していると、夜露に濡れた枯葉に足を取られそうになる。

だが、しばらく歩いていると闇夜に目が慣れてきた。歩くたびに、土の匂いと、木の多さに改めて驚く。こんな森の中で何も持たずに、迷ったりしないのだろうか。ゴリは相変わらず無表情だった。

それにしても寒い。やはり迷彩服の下に何か着込んどいた方がよかったかな。でも、いざ戦闘なんてことになったら、動きづらくて命取りになりかねない。

「賢一さん、あまり詳しいことは聞いてないんですけど、COLORプログラムって一体なんなんですか?」

康市が話しかけてきた。

「う〜ん。説明すると長いんで後で説明するよ。ていうか、生きて帰ってこれたらね」

「わかりました……。で、今からどこに行くんですか? 二の岳みたいな険しい山とプログラムってなんか結びつかないんですけど」

「二ノ岳に藤田っていう爺さんが住んでるらしい。かなりヤバイらしいけど、お前、知ってるか?」

「いいえ、全然。っていうか、基本的に今時の健全な若者が山登りばかりしてたらおかしいでしょう? しかも、あそこは登山道がないから、地元の人間でも知らないやつがほとんどですし、知ってても誰も近寄らないですよ。

賢一さんは街の方で育ったから分からないかもしんないけど、自分の腰まで生い茂った草をかき分けて歩くのって身動き取れないくらいしんどいんですよ。それに一歩先が見えないから、下手したら崖の下にまっさかさまだし」

「そんなとこに行くのかよ。全滅必至だな……。」

僕がそう漏らすと、康市は、また言葉を放った。

「藤田って爺さんは、何者なんですか?」

「具体的なことは知らないんだ。僕のオヤジの知り合いで、この国の影の権力者みたいな人らしい。そいつが、僕たちがお目当てのCOLORプログラムを持っているんで、取りに行こうってわけ」

「そんな話、聞いた事ないですよ。そもそも二ノ岳に人が住めるような場所があるなんて聞いたことないですし、ちょっと信じられないっすね。あ、でも、そういえば夜中に、二ノ岳の方に向かって、かなりでかいヘリが飛んでいくのをちょくちょく見かけますね」

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