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その後、取り調べの時に没収された所持品を返してもらって、警察署の玄関まで案内してもらった。
「じゃあな、もう本当に短気を起こすんじゃないぞ。それから、これ。本当は俺が渡す立場のものじゃないんだが」
警官が差し出したものを手にすると、彼が入院している住所のメモだった。
「民事の問題に警察は口出しできないんだが、一応筋を通して、謝罪くらいはしといた方がいいんじゃないか? じゃあな」
僕は、そのまま警官に黙礼すると、その足で直接見舞いに行くことにした。
病院の受付で彼の名前を言うと。あっさり病室の番号を教えてくれた。
「失礼します」
部屋のドアをノックし、中に入ると、サングラスにパンチパーマの男がいた。康市の父親だった。
「このたびは、誠に申し訳ございませんでした。息子さんを大変な目に遭わせてしまって」
「いえいえ、とんでもない」
僕が謝罪すると、康市の父親が立ち上がって頭を下げた。
「元はといえば、ウチのせがれが、ご迷惑をかけたからです。こちらこそ、誠に申し訳ございませんでした」
「いえ、それで、彼は大丈夫なんですか?」
「医者から検査を勧められたんで、入院してますが、どうやらなんてことはないようで、明日には退院できそうです。まあ、いい薬になりましたよ。恥ずかしい話ですが、親でも手がつけられなくなってまして。本当に今回のことで懲りたみたいです。むしろありがたかったです。本当にご迷惑をおかけしました」
それからしばらく雑談していると、康市の父親が自分の仕事の話をはじめた。
康市の父親は工務店を営んでおり、バブルがはじけてから経営も危うくなっていたらしい。康市は、バンドで成功してオヤジさんの工務店を再建するつもりだったが、もう一歩というところで、夢が壊れて、素行も悪くなっていったらしい。
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