無料オンライン小説 COLOR 悪の誘い



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不動産会社の人が電話に出ると、彼の所在は分からないと言い、それ以上の事は何も話してくれなかった。

しょうがないので、電話を切りポケットにしまい込むと、意味も無くしばらく歩いた。

そう言えば、カラープログラムに関わった人達と、いつの間にか接触出来なくなっている。

そして、僕の脳にビットというナノロボットが寄生し始めてから、過去の記憶が少しずつ失われはじめている様な気がする。

でも、それ以上に、一番気になる事は、以前三番館の地下の秘密基地に潜入した時に見た、コンピュータに接続された臓器の群れだ。

もしかすると、僕自身もあの臓器の一部なのかも知れない。

そして、この世界には本当は存在せず。脳だけが何処か隔離された施設の中にあり、今見ている様な風景を意図的に神経回路を通じ、見せられているのかもしれない。

そう思うと、すべてのつじつまが合う。

いや、それは不可能だろう。

いつも、この自問自答の繰り返しが続く。

まあ、しょうがないか。

でも、いつか富国電気のラボに行って、僕に寄生しているナノロボットをバード博士に除去してもらわないといけないな。

このままでは、いずれ精神が崩壊して廃人になってしまうかもしれない。

我に返ると、いつの間にか少し大きな公園の前を歩いていた。

無性にのどが渇いたので、目の前の自動販売機でジュースを買い、公園の中に入りベンチに腰掛けた。

缶ジュースを飲み始めると、目線を少し右の方に向けた。

奥の方には、木の陰に隠れるようにブルーシートで被われた青いテントのような物がある。

また視線を正面に戻すと、前方の砂場の方で子供達が砂場の淵に腰掛け、任天堂DSをやっている。


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